ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

小説

レモン・ドロップス/石井睦美

中3女子、横暴な(というと語弊があるが)姉、恋に夢中な友人。そういった機微をイマイチ理解できない主人公。それに、すてきなおばあちゃん(終盤で認知症を発症)。 前回読んだ「ひな菊とペパーミント」と同じような年頃の、一見すると同じような話だと思…

ひな菊とペパーミント (講談社文庫)/野中柊

Qも保育園行き始めて、通勤が始まったので、小説を読む日常を再開しよう。最近はアロマやハーブの勉強関連の読書ばかりで、私も物語に入っていける心の余裕がなくて、小説を読み始めても読み終えることが出来ないまま今に至ったのだけれど。 久々読み終えた…

神田川デイズ/豊島ミホ

そういえば妊娠後期に読んだ小説のレビュー全然してないな。覚えてる範囲だけでも近々まとめたい。 というわけで久々の読書。Pが4時間くらい昼寝しててくれたので一気に読めた。 豊島さんといえば檸檬のころが最高傑作、と思っている私であるが、この作品は…

ここ半年ほどの読書録。妊娠して以来、なにせ眠くてだるくてやる気なし、日々の生活を保つのが精一杯だし、妊娠出産に関する本はいくつか読んだけど、小説を読む余裕はほとんどなかった。で、今数えてみたら、文芸誌や再読モノを除くとたったの三冊であった…

絶対、最強の恋のうた〔小学館文庫〕/中村航

最近は本を読むといえばお勉強ばかりで(といってもたいした勉強をしているわけではないが)、久しぶりに小説を読んだ。久しぶりなのでテンション的に微妙かなーと不安を感じつつ開いた、ら、いつもはひどく遅読なワタクシが2時間弱で読了してしまったこちら…

プラナリア (文春文庫)/山本 文緒

断食前後、というか、行く電車と帰りの電車で読んだ。 小説を読んで感銘を受けるときはたいてい、作品の優劣とかなんとかよりも実はタイミングがとても重要で、どんなに良い作品でも今の自分の心には響かないな〜ということもあるし、しょーもない作品だと思…

黒笑小説 (集英社文庫)/東野圭吾

ものすごい今さら感漂わせつつ、私にとって初めての東野圭吾。 タイトル通り、ブラックでアイロニーたっぷりのユーモア小説を集めた作品集。こういう作品集は三作目だそうだけれど、なんとなくタイトルでこれを選んでみた。で、ひとつも難しいところがないし…

お縫い子テルミー (集英社文庫)/栗田有起

これも2008-2009またいで読んだ本。正確には、表題作の「お縫い子テルミー」を2008年に読んだまま忘れて、2009年になって本がどっかから出てきたので、同時収録の「ABARE・DAICO」を読んだという按配。そんなんどうでもいいか。まあともかく、なんとなく気に…

言い寄る/田辺聖子

既読だけど、友人が貸してくれるというので遠慮なく借りた。すごく好きな作品で、読むのは少なくとも3回目だ。そして復刻版の装丁、かわいーじゃないのコレ。 さて。この作品を1回目に読んだとき、私は10代で、まだ経験も勉強も足りなかった。だので、この作…

花まんま (文春文庫)/朱川湊人

年を挟んで帰省の行き帰り新幹線にて読了。昭和30〜40年代くらいの大阪の下町を舞台として、子供が主人公となっている、少し不思議なお話がいくつか集まった短編集です。どっちかというとホラーじゃなくてファンタジー。 どんな時代背景にあっても世の中はす…

デッドエンドの思い出 (文春文庫)/よしもとばなな

久々に「やられた」と思った作品集。 この作品とは関係ないのだが(いきなり関係ない話かよ)、最近よく感じていたことがある。それは、私たちは大きな流れの中で生かされている、という感覚だ。運命というほど甘くなく、宿命というほど重くもなく、ただ「生…

ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫)/松岡圭祐

十数年前……まだシーなんてなかった頃、えーと、ランドにトゥーンタウンができた頃ぐらい? に、たった1年間だけだけどキャストをやっていた私にとって、興味がないとは言えない作品。まあつうかぶっちゃけ前から気になっていたので、文庫版が出て即購入。 で…

愛の風見鶏/田辺聖子

やはり田辺聖子さんはすばらしい。 どれほどすばらしいかって、まだ最後の一篇を読んでいなかったのに、酔った勢いで友人に「ぜひ読んで」とこの本を無理やり貸してしまったほどすばらしい。ああすばらしい。 自身があとがきに書かれているとおり、これは恋…

対岸の彼女 (文春文庫)/角田光代

買うだけで満足して積んでいた文庫本に、ようやく手をつけたよ第一弾。あらすじをかいつまんで言うと、対極に見える二人の女がいて、それはもう完全に陰と陽みたいな真逆の性質を持つのだが、実は根っこに同じものを持っている、みたいな話だ(違うかも……。…

やさしい関係 (角川文庫)/藤堂志津子

ここ2ヶ月ほど、感触としては面白いと思っているのだがナゼだかさっぱり読み進まない小説があって、ずっとつっかえていた。とうとうそれをギヴしてこの作品を読んだらさくっと読めたので、ああ私のせいじゃなかったんだな、と思う。前置きおわり。 で、この…

あたし彼女

さてこれを小説のカテゴリで書いて良いものか……? 迷ったのだが、つまりはケータイ小説って小説の新ジャンルなんでしょ、ということで納得し、話題騒然(?)の「第3回日本ケータイ小説大賞」の大賞作品を読んでみた みたいな。 読む前にニュース等でさわり…

海の仙人 (新潮文庫)/絲山秋子

先日、文章力向上の人たちと飲んだときに「あなたに合っていると思う」的な感じでお薦めされた、というかプレゼントされた作品。嬉々として読んでみた。絲山さんの作品は、今までに読んだ記憶はあったけど、調べてみるとあっちでもこっちでもレビュしてない…

AMEBIC (集英社文庫)/金原ひとみ

人間って下手に知能が発達してしまった分、本質的にどうしてもイタい動物だと私は最近すごくよく思っている。で、この作品に描かれているのはそういう意味でものすごく、普通にイタい。人間的にイタい。だからこの作品に描かれているのは、そういう意味でご…

人生ベストテン (講談社文庫)/角田光代

ひっさしぶりに小説読んだ。 ひらたく言うと、イタい主人公が、ひょんなことからイタい登場人物と出会うことで、イタい自分を省みるという話ばかりの短篇集。という書き方をしたけど、別に作品がイタいわけではなくて、これぞ角田光代さんの真骨頂というかな…

イニシエーション・ラブ (文春文庫)/乾くるみ

帯には「必ず二回読みたくなる小説などそうそうあるものじゃない」、カバー裏にある作品紹介には「(略)青春小説――と思いきや、最後から二行目(絶対先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する」とあって。この煽り文句に釣られて読んでみたわ…

ほかに誰がいる (幻冬舎文庫)/朝倉かすみ

うおおおおおお! 唸るわ(唸りか?)。 朝倉かすみさんを読むのは二作目で。デビュー作の「肝、焼ける」を読んだときは、ああ巧いなって。洗練てか熟練てか、それっていわゆる作り込み感、要は技巧メインみたいな印象。感心はしたけど感動はしなかった、て…

乳と卵/川上未映子

実家にあった文春*1で読んだ。ほか一切読んでないくらい時間はなかったが、すんなり読めたのでかろうじてこの作品は読了。 すごく分かりやすかった。予想ほど新しいかんじはなく、むしろ文学的にはスタンダードな感じ。文体も、むずかしいのよみにくいのと多…

漢方小説 (集英社文庫)/中島たい子

前から気になってたんだけど文庫本化するまでジリジリ待って、ようやく読んだ。後悔した。これは、文庫本を待たずに読むべきだったわ。 この作品に出てくる登場人物はみんな、少なくとも私にとってはものすごくリアルで、身近な人たちとシンクロする。そんな…

サマータイム (新潮文庫)/佐藤多佳子

最近よく目にする佐藤多佳子さんのデビュー作。うわー。素晴らしく面白かった。私が「この方向性でこのぐらいのレベルが書けたなら即デビューだろうなー」とずっと思ってきたライン、まさにその線上にある作品だった(もちろんそれは、私にとってとても高い…

薄荷草の恋 (講談社文庫)/田辺聖子

恋愛小説の短編集。どれも良かったけれど、とくに「百合と腹巻」「いわしのてんぷら」が印象的だった。 私は田辺聖子さんの作品をよむたびに、なんで自分はこの人の作品がこんなにすきなんだろうと考えてしまう。私とは全然違うタイプの主人公、基本的に軽い…

花を捨てる女 (新潮文庫)/夏樹静子

とかいいつつエンタメ。あれ、これ前に読んだことあるなー(実家から持ってきたものなので、さもありなん)。 まーともかく。世の中に主婦小説というジャンルがあるなら、こういう作品を言うのだろう。あの手この手のトリックが描かれているんだけど、なにし…

彼女は宇宙服を着て眠る (幻冬舎文庫)/辻仁成

リア厨時代にピアニシモ (集英社文庫)読んでさっぱりわからず、そのイメージゆえ敬遠してきた辻さんですが。今回あえて挑戦してみたら、なんだこれ。非常に良かったです。最近意識的にエンタメ寄りになってたけど、やっぱ私にゃ純文学のが断然面白いことに気…

ネバーランド (集英社文庫)/恩田陸

全国でも進学校として有名な伝統ある男子校の、学生寮で迎えた冬休み。皆が帰省していく中で「帰れない」、あるいは「帰らない」を選択した3人+通学組なのに寮に居座る1人の男子高校生が、生活をともにすることで互いの秘密を知り、共犯者めいた感覚から…

天使の屍 (角川文庫)/貫井徳郎

あーーーあーーーー救われねえ。というのが読後感。やるせないなあもう。 自殺なんてしそうにない利発な中学二年の息子・優馬が突然自殺し、息子の自殺に納得できない父親(=主人公)がその動機を探り始める。事件を探るうちに、息子と仲が良かった同級生が…

昨日今日と夫が海外出張(羨ましい)で不在。たまのシングルライフは楽しい。折しもあの忌々しい出来事から、はや一年が経とうとしているので、一人でゆっくり考え事をする。あと読書とか。 ここに読んだ小説の感想を書かなくなって久しいのだが(めんどくな…