ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

小説

まとめて

GWなのでまとめちゃうよ(基本的には毎日休日の私が言うのもナンですが)。昨年11月〜今年4月までの読書記です。といっても年末〜3月前半は仕事に埋もれ、3月後半は引越しでいっぱいいっぱいだったわけなので、ほとんどが4月に読んだもののような気がする。…

口笛吹いて (文春文庫)/重松清

勝ち組負け組でいったら負け組っぽいおはなし5篇。男の人は仕事に悩み(多くはリストラという形)、女の人は家庭に悩み(多くは職業と主婦業の天秤という形)、子供は家族との関係に悩む(もちろん反抗期という形)という、もうほんとごくごくありふれた人…

夜あけのさよなら (新潮文庫)/田辺聖子

ずっと読みかけだったヤツ、やっと読み終わりー。つか、ただでさえ遅読である上に仕事やらなにやらのアレで1日5ページくらいしか進まない日々が続いていたので、とうとう夜なべ読書を敢行。うむ、満足。 私が生まれる前の年――つまり30年以上前に書かれた長編…

四日間の奇蹟/浅倉卓弥/ISBN:4796638431

泣ける、泣けるという前評判をもって読んだからか、ちっとも泣けなかった。上手いなあとは思った。前半は多少読みにくかったけれど、後半はほとんど一気に読めた。でもなんだか、感想がとても言い難い作品だなあと思う。

凍った蜜の月/横森理香(ISBN:4087476596)

(ひさしぶりにこのカテゴリー書く気がするよ。) ずっと小説を読めなかった。ここ何ヶ月か、若い女性が書いた作品を何冊か囓るように開いては読むのをやめて開いては読むのをやめて、結局どれも最後まで読めなかった。だから、これはひさしぶりに最後まで読…

久々に「おおっ!」と思いながら読んだ小説は、地元の新聞に載っていた、地元の高校生が書いた作品でした。なんかいろいろ考えちゃった。

ロッカーズ/川島誠

ロケンロー小説。日本における最も偉大なロックバンドのギタリストによる自伝、の体裁をしてらっしゃる。陣内孝則が監督をやった映画とは、たぶん関係ない。 とりあえず、時代設定はそんなに昔ではないはずなのに、なぜか最初から最後まで80年代っぽい空気で…

姫君/山田詠美

土・日と久々の休みだったので(仕事中は活字を見るのが苦痛になる)、文庫本を何冊か買ってきたよ。まずは、文庫になった途端やはり手を伸ばしてしまう程度には好きなエイミーから読む。ごめん、全然脱却してないや。 「MENU」が非常に好き。こんな書き出し…

自殺のすすめ/渡辺淳一

久々に本を一冊読み切れたよ、もうだめぽ。 それはそうと、やはり初期の渡辺淳一は良いです。外科医独特の視点、医療に従事した人にしか知り得ない世界。点は二物を与えるなあー。自分にしか書けない物を明確に持っている人の強みってのをひしひしと感じる。…

気を取り直して、短いやつひとつ書いた。

今回の小説現代新人賞を受賞した朝倉かすみさんの「肝、焼ける」を読んだ(立ち読みで)。著者が札幌の方というので、なおさら興味を持った。 内容は、年下のボーイフレンド(まだ彼氏ではない)に夢中になる自分がいやで素直になれずにバカな独り相撲をする…

羆嵐/吉村昭

前々から読まねばと思っていながら今さら。北海道で実際に起きた獣害史上最大の惨劇を描いた作品。実は去年その現場に行ったのですが、この作品を読んでいないし事件のあらすじについてもろくに知らないクセに、怖くて車から出られなかったのは私です。 あら…

妊娠カレンダー/小川洋子

2004年本屋大賞に選ばれた小川洋子氏の、芥川賞受賞作を今さら(なんで今回の受賞作品を読まないかね、私は…)。小川洋子は大学時代にも幾つか読んだんだけど、どうも好きになれず、ただ独特な人だなと思う。今回もただそう思った。こういう描写が好きという…

ジョゼと虎と魚たち/田辺聖子(追記)

この前(id:twodogs:20040409#p1)書き忘れた。(しかも思い出すの遅すぎ。)ちょっと良いなと思った部分を引用するよ。 不機嫌というのは、男と女が共に棲んでいる場合、ひとつっきりしかない椅子なのよ……(中略)どっちか先にそこへ坐ってしまったら、あと…

ジョゼと虎と魚たち/田辺聖子

映画化でちょっと話題になってるっぽいジョゼ虎。田辺聖子スキーとしては読まなければと手に取った次第。 田辺聖子の小説って映像向きじゃないんじゃないかなと思っていたけれど、表題作の「ジョゼ虎」読んで、ああなるほどと思った。ちょっと毛色が違う。こ…

昭和歌謡大全集/村上龍

帰省中に読んだ作品その2。映画を観るのは諦めて原作を。あー、まあ村上龍的だねえ、という感じで読み通してしまった。押しつけがましい偏った価値観がちょっとウザイような、けど勢いで読めるからまあいいか、みたいな。 あとがきで「書いていてこんなに楽…

夜のグラフィティ/村松友視

帰省中に読んだ作品その1。いかにもバブリーな時代の、けれど表舞台にはなりえないような裏寂れた場所で、酒などを飲む人たちを中心にしたあれやこれやの短編連作集。決して衝撃や感動はないけれど、どんな人間にも抱え込んでいる過去や想いがあり、そして…

とかげ/吉本ばなな

昔読んだはずだけど、あれーこんな良い作品集だったのかー、て感じ。私の理解力がアップしたのか、今の私の精神状態にマッチしすぎなのか。能力の問題ではなく、単に大人になったってことかもしれん。 どの作品も、ものすごく大切な、忘れちゃいけないことが…

蹴りたい背中/綿矢りさ

読んだー。結局これもだなあ。ものすごく王道な恋愛系の青春小説に、キモヲタっていう今ふうの要素をブレンドした感じ。愛情をうまく扱えないゆえの「蹴りたい」っていう衝動ってことじゃないかなあ。契機だから仕方ないけど、いっそ教室の人間関係とか関係…

蛇にピアス/金原ひとみ

読んだー。ふつうに面白かった。 スプリットタンという割と衝撃な切り口から、セックスやSMや暴力、犯罪、あげくアルコール依存や拒食症まで、いわゆるアレ的な要素(なにそれ)満載で話題になってるのかと思ったけれど、蓋を開けてみればものすごい純粋なラ…

夫の始末/田中澄江

で、昨日宣言したとおりちょっと書こうと思う。 「夫の始末」という小説集は、生と死に真っ向から立ち向かう「骨の始末」、数奇な人生を生真面目に総括する「花の始末」、夫や結婚について真剣に考える「夫の始末」、そして、夫が病床に伏してその看護にてん…

夫の始末/田中澄江

不穏なタイトルですが別に夫を始末しようとは思ってません(夫もビビッてた)。 深く感銘を受けたので、明日にでも詳しく感想を書こうと思うけど一つだけ。この作品、平成八年の女流文学賞と紫式部文学賞を受けたのだが、このとき著者は88歳で、最高齢受賞記…

ヴァイブレーター/赤坂真理

メンヘル系ノベルですねー。というか、高橋源一郎の解説が一番面白かったです。それでも買いかぶり過ぎに見えるけど。確かに言語学的(か? あるいは文学史的なのかなあ。学問のカテゴリーはよくわからん)に読めば、とても面白い作品なのかもしれない。村上…

ロックンロールミシン/鈴木清剛

著者がアパレル系という経歴であるうえに、カバー絵がやまだないとときたもんで、割ともう少し軽いというかサブカルっぽいイメージを抱きつつ手に取った作品だったのだけど。読んでみるとその内容は全然純文学でした。すごくよかった。 もちろん第一印象通り…

魚籃観音記/筒井康隆

前に途中まで読んでうっかり忘れていた短編集をざっくり再読。他のも割と良いんだけど、違う意味で表題作の「魚籃観音記」はすごい。やばい。ざっくりと言えば筒井康隆流の二次創作ポルノで、元ネタは西遊記。孫悟空が観音様とというものすごい設定なのだが…

ビビンパ/清水義範

15年くらい前の短編集。あー面白かった。 いくつか気になったのを挙げると、「御両家」「謹賀新年」の二作は、時の流れと人間の変化をシュールに描いている作品でとても興味深かった。「猿取佐助」面白すぎ。小説読んでてこんなに声出して笑うことってあるか…

ビタミンF/重松清

やっと終わりまで読めた。 本当に等身大の、身近にいそうな、あるいは10年後くらいに自分がなっているかもしれない「家族」という姿を描いた短編集。無理に良い小説を書こうとしない姿勢がすごく好き。ありふれた風景かもしれないけれど、だからこそ、この時…

ビタミンF/重松清

まだ読んでる途中だけど2つめの「はずれくじ」についてメモ。 重松清の小説は、いつも「良い」ではなく「上手い」と思う。「上手い」というのは文章がということではなく、いやもちろん文章も上手いんだろうけど、それよりも巧妙に人の心に隙入るのが上手い…

律子慕情/小池真理子

一人の少女が恋と大切な人の死(と、死者との不思議な出会い)によって成長していく短編連作の物語。すげーよかった。 以前から恋愛遍歴みたいな小説には興味があったんだけど、ただの恋愛遍歴語りで済まさないための手法がこの作品のありとあらゆるところに…

葡萄と郷愁/宮本輝

たまたま同時に人生の重要な岐路に立たされた二人の女性の話が並列して語られる物語。 共通点は、二人とも提示された未来が夢のような話であることと、二人の原体験のどこかに葡萄があること、あと、決断の日にいろいろな人のいろいろな人生と触れ合っている…