ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

ミッキーマウスの憂鬱 (新潮文庫)/松岡圭祐

十数年前……まだシーなんてなかった頃、えーと、ランドにトゥーンタウンができた頃ぐらい? に、たった1年間だけだけどキャストをやっていた私にとって、興味がないとは言えない作品。まあつうかぶっちゃけ前から気になっていたので、文庫版が出て即購入。
で、やっと読んだ。
冒頭からして「ハハハそりゃねーわ」という感じだったので、「ディズニーランドの裏側がすっごいリアルに描かれている!」みたいな感想はありません。噂話からめいっぱい妄想を広げた感じです。もっと詳しいことを書きたいけれど、やっぱりそれは書いちゃいけないので、書けない。ただひとつだけどうしても書いておくことがあるとすれば、バックステージだって別に「夢の世界の裏側の現実世界」みたいなものではなく、みんなディズニースマイルでもっとずーっと夢のある場所だったよー!
でも、誰もが知る/あるいは興味を持ちそうな舞台を利用して、これだけ青春小説の定型に当てはまる作品が書ければ、そりゃあ売れるだろうなあと感心しながら読みました。こういうのは本当、発想の転換だよなあ。あとはもうちょっとラブい要素があれば完璧……と思ってしまうのは欲張りか。
難を言えば、主人公があまりにも馬鹿すぎて、読んでいて辟易する部分もあり。というかそういう部分だらけだ。いくら成長を前提とした青春小説でも、空気読めないし喋りかたも知らないこんなヤツ、どんなバイトだって面接通らないだろうよー。しかも、結局その空気の読まなさで問題を解決してるわけだし、あんまり成長になっていないような。まあいいか。
最後に、この物語に描かれたミッキーの中の人が、やっぱりというかなんというか主役級にアツいところがとてもよかった。でも、現実には、ミッキーの中の人なんていないよ!