ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

お縫い子テルミー (集英社文庫)/栗田有起

これも2008-2009またいで読んだ本。正確には、表題作の「お縫い子テルミー」を2008年に読んだまま忘れて、2009年になって本がどっかから出てきたので、同時収録の「ABARE・DAICO」を読んだという按配。そんなんどうでもいいか。まあともかく、なんとなく気になっていた作家さんで、インパクトのあるタイトルな上、装丁も可愛かったからつい衝動的に買ったのだが、買ってよかった。
どちらの作品も、全体的に心地よいほどにユルく、なおかつ重くて苦しくて切なく、しかし一本筋の通った絶対的な強さをあわせ持つ作品だった。文体にも迷いがなくて、ユルいのにすごく潔い。どこにでもありそうで、結構レアな文体という気がする。有無を言わさず、こういう世界があってこういう人がいるのよ、アナタとは関係ないけどね、と言われているような感じだ。それは決して悪い意味ではなく、私と関係のなさそうな世界だからこそ、私はそこにとてもつよい興味をおぼえて読み進めてしまう。つまり、読んでいてすごく楽しいということだ。この作品は、たぶん読んだ人の人生に強烈な影響を与えることは、たぶんないと思う、けれど、人生を鮮やかにいろどるちょっとしたスパイスになりそうな、ピッとした印象。
ことに「ABARE・DAICO」は読むと同時にその光景が主演・今井悠貴くんで脳内映像化されるので、余計に面白かった。年の頃もちょうどいいし、キャラ的にとても合いそうだよ。というかここで突然思い切ってすごい気持ち悪いこと言うけど、最近の私は今井悠貴くんがテレビに出てる人の中で一番好きという状態で、けっこうあぶない人である。あ、今井悠貴くんの話になりすぎた。
まあともかく、栗田有起さんは面白い作家さんだとわかった、まだ出ている作品も少ないので、早めに制覇しておきたいトコロ。