ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

夜あけのさよなら (新潮文庫)/田辺聖子

ずっと読みかけだったヤツ、やっと読み終わりー。つか、ただでさえ遅読である上に仕事やらなにやらのアレで1日5ページくらいしか進まない日々が続いていたので、とうとう夜なべ読書を敢行。うむ、満足。
私が生まれる前の年――つまり30年以上前に書かれた長編で、解説を読んで知ったけれど、若い女の子(小説とは縁のなさそうな層と解説の人は書いていた。いつの時代も若い女の子はオジサンからバカ扱いされているものだ)の雑誌かなんかで連載していたとあり、簡単に言えば、恋愛とオシャレのことしか頭にない女の子のための恋愛物語。主人公は3人の男の間をフラフラとしたあげく結局3人のうち誰とも結ばれず、しかもどの終わりかたもとても後味が悪い。近年騒がれているような純愛なんかではないし、泣ける物語ではない。でも、主人公のフラフラっぷりがすごく素直で嘘がなく、だからこそ心にずっしりのしかかってくる。で、「キレイに終わる恋なんてないよな」と改めて考える一方、不思議と苦々しい気持ちにはならない魅力もあったりする。情景を思い浮かべるだけで良いにおいがしてきそうな場面も多々盛り込まれており、その鮮やかさや軽やかさとあいまったわけのわからない不安とか深刻さというバランスが、なによりリアルなのかもしれない。ハイミス(死語?)の先輩が一人暮らしをする住まいに関する主人公の考察なんかは、本当にぐっと来た。
「悪魔には悪魔のかなしみがあるように、夜明けには夜明けの影がある。(中略)夜あけというのは、ふつう、いわれるように明るさの前提ではなくて、暗さの最後の悪あがきなのであって、わたしはいつもこの時間に自殺したくなっちゃうのである。」というくだりが冒頭にあって目を惹くのだけれど、結局、「夜あけ」は前向きな意味なのだろうなあ。別れても夜はあけるし、傷ついても死なないのが乙女パワー。だから、また明日も恋ができるのです。
うん、今日は特に変なテンションだね。後日きっと書き直そう。