ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

ロックンロールミシン/鈴木清剛

著者がアパレル系という経歴であるうえに、カバー絵がやまだないとときたもんで、割ともう少し軽いというかサブカルっぽいイメージを抱きつつ手に取った作品だったのだけど。読んでみるとその内容は全然純文学でした。すごくよかった。
もちろん第一印象通りに軽く読めたりもするのだけれど、それがすごく精巧なつくりにもなっている(と思う)。書いていること自体は、20代前半から半ばくらいにかけて(社会に出て二三年くらい)にありがちな青くささについてであり、その青臭さは自分がそこを一度抜け出してみないと解らない、みたいなことを示唆したいんじゃないかと思うんだけれど、何にせよ描き方が上手いと思う。美しくリアルな予定調和とはこういうことを言うんだなあと思った。
映画のほうは観てないのでなんとも言えませんが、私はこの作品を映像で見たいとは思わなかった。文章という形が合っている物語だと思う。