ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

口笛吹いて (文春文庫)/重松清

勝ち組負け組でいったら負け組っぽいおはなし5篇。男の人は仕事に悩み(多くはリストラという形)、女の人は家庭に悩み(多くは職業と主婦業の天秤という形)、子供は家族との関係に悩む(もちろん反抗期という形)という、もうほんとごくごくありふれた人間を描いてるのに、小道具が効いているからすごく印象に残る。最後の「グッド・ラック」に出てきた人生ゲームと紫陽花は特に良かった。「かたつむり疾走」も良かったけれど、重松さんは若い人よりオッサンを主人公に書いたほうがいいと思います。若者言葉の遣いかたが不自然すぎるから。あと、作中に出てくるホームレス観には、イマイチ同意できんかった。
嘉門達夫の解説は別に普通だったけれど、「重松さんの作品の登場人物は誰も悪くない」という一文はとても的を射ていて良かった。今の私に足りなかった気持ちだ。たぶん。