ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

#23

主治医に「もう手術は無理」と言われたとかで、ひどく弱気になっている。死ぬ死ぬ言ってる。ガンマナイフの先生にそろそろ診てもらう予定のはずが、母が行きたがらないという。怖いのだろうな、と思う。これで放射線治療ももうできないとなると、いよいよだ。
そらまあ弱気にもなるわなー。という気持ちがあるので、「弱気になっちゃダメ!」とも、言えない。かといって、「そうだよねー」と同意もできず、苦笑いな私。
でも父自身は元気、というか、まあ病気だし薬で浮腫んで体の自由がきかないし、そのせいで腰を痛めたりしてよけいにイライラしている感じはあるけれど、そんな中でも毎日ちゃんと仕事に行って、おいしいものを食べて、生きている。苦しい思いをして生きるよりも早く逝かせてくれ、と言ったりはするけれど、昨日まで元気でなんでもない人がある日突然亡くなってしまうよりも、今の状況でよかったんだと私は思う。それは、意味があるんだ、と。
こうしてときどき私が行ったり、弟たちが行ったりして、みんなで貴重な時間を過ごす。そういう時間が持てたことを本当によかったと思う。特に母は、ちっとも家庭向きでなく、いつも外出しているような人だったけど、父の病気発覚以来ずっと家にいて父についている。二人でゆっくり過ごす時間なんて今まで本当になかっただろうから、最後に夫婦らしい生活ができて、よかったと思う。
まあ、「最後」と書かざるを得ない状況であることは、私も重々承知なわけで。でも、そんなに悲壮感はない。いろんなショックは、病気の発覚の時点であまりにも受けすぎてしまったからか。とにかく今は、悔いのないように、残された父との時間を過ごそうと思うだけだ。