ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

仕事の話

ちょっと時間が空いた。産休に入ったのになぜか忙しくて。「産休に入ったら暇だからやるね」という口約束をいっぱい交わしてしまったせいである。ただでさえ巣作りとか入園準備とかいろいろやることあるのに、産休は暇だと思っていた私は莫迦だわね。
仕事のことが書きたかったんです、ずっと。
今の仕事がえらい楽しくて、楽しすぎて戸惑う。フルタイムで働きたい(何度も言うけど薄給だけど)。産んだら出来る限り早く復帰したい。本当に繋ぎのつもりで始まった会社との縁なのに、何がどう幸いするかわからんもんだ。
独身時代の私にとって、仕事は単に生きていくための日銭を稼ぐことだった。だからなるべく大企業に勤めたかったし、給与額と福利厚生が仕事を決める要素だった。有給はたぶん1日も無駄にしたことがなかったと思う。プラス、生理休暇とかもしっかりとっていた。社会人としては屑。でも、他にやりたいことがあったし、それでようやくバランスが取れていたのだと思う。
結婚して、生きるだけなら別に専業主婦でもやっていけるという状況になって初めて、私は「稼ぐ」ことを目的とはせず仕事を探すようになった。もちろん、結婚したからといって日銭を稼がねばならない状況の人だって世の中にはたくさんいるので、私はとてもラッキーだというのは分かった上で、あえて書く。私は別に稼がなくても良い。だから、給料や就業条件を考えると今までなら見向きもしなかったけれど、本当はやってみたかったことを仕事にするというチャレンジができた。
で、そういう仕事の選び方をしてからかれこれ10年近く経ち、いくつか仕事(職種)を変わった。どれも面白かったけれど、どれも腰掛け気分で、結局はモノにならなかった。「稼がなくて良い」というのは、上から目線だったのだろうか。結局のところ、ただ好きなだけで仕事にしてしまうとかえって面白くないという所感が残った。
そんな私が、今の仕事だけは面白いと感じるのはなぜなのか、ずっと考えていた。アロマが好きだから? でも、好きなだけなら今までと同じだ。そもそも前の会社だってアロマ関連の仕事だったけど、Pが小さいから近所で働けるだけでも幸いと思って我慢して働いていたわけだし。じゃあ前の会社とは何が違うのかというと、経営者の理念だった。
どんな理念なのか、というのは置いといて話は変わり、弟2が来春に独立開業することになり、それにあたって家族でいろいろ話をしていたとき、弟1が言った。「俺ら公務員育ちで、何が何でも儲けようっていう考え方が足りないから(弟2は)そこらへん頑張らなきゃいけないんじゃない?」
うっかり、私にも突き刺さってしまった。痛い痛い。
いや、もともと自覚はあった。ビジネス感覚に欠けると指摘されたことも何度となくあるし。実際のところ、今までやってきたいろいろな活動って「自分が損をしない」という最低ラインでしか採算をとっていない(しかもその『損』は気分的なものを含めてなので、気分が良くなれば採算が合わなくても別に良かった)。今でも、無償で活動すること自体には、特に不服もない。もちろん、楽しくなきゃやらないけど。
そして。今の会社の社長、実は元公務員なんである。
公務員って世の中のイメージはどうなのかわからないけれど、よほど「世のため人のため」と思っている情熱的な理想家か、よほど利益欲(利益を追求したい気持ちってのは本能的には誰でも持っている気がする)を諦めた世捨て人みたいな人じゃないと、しんどい仕事だと私は思っている。ちなみに父は前者だったし、私はその考えを中途半端に受け継いでしまったようだ。
そして社長も前者だったっぽい。元公務員とはいえ、その職をスパッとやめて独学でアロマセラピストになってるあたり。理想ありきの人だ。もちろん、社長自身はなんとかして日銭を稼がねばいけない立場なわけだから、決してビジネスとして温いことをやっているわけでもないのだが。
でも、理想は絶対譲らない人なのだとわかってきた。たとえビジネス的にオイシイ話でも、企業理念を覆すことになるなら乗らない、みたいな。儲かるかわからないようなことでも、企業理念に通じるような新しいことにならばどんどん手を出す、みたいな。融通のきかない私から見ても、不器用すぎるっつーかスマートじゃないなと思うところも多々ある。けれど、今までの会社で散々感じた「社長(あるいは部長、課長)、言ってたこととやってることが違うじゃないですか」というのが全くない。これまでいろんなところに勤めてきたけど、こんな会社、今までになかった。
幸い、とても小さな会社だ。社長がほぼ同年代の女性というのもあり、私もなんでも遠慮なく言える立場であるのも良いのかもしれない。考え方が似ているだけに、自分の欠点を見つけるように悪いところを見つけることもある。でも、だからこそ「じゃあそこを何とか解決しましょう」とも思える。自分が一緒に歩いていける会社なんじゃないかと、今は本当にそう思っている。
だから、特に年明けから腹デカで通勤するのはすごく大変だったけど、産休に入るのはものすごく寂しい。今は、早く産休あけてまた仕事したい〜〜じっとしてらんない〜〜みたいな気持ち。これ、産んだらまたどう気持ちが変化するのかはわかんないけど。でもとりあえず今の素直な気持ちとしては、子どもたちの人生をサポートするというもうひとつの私の仕事としっかり折り合いをつけながら、末永く働いていければなと思っている。
氷河期世代、37歳にしてようやく自分の会社を見つけましたという話でした。