ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

#15

なんだかんだいって久々に父と顔を合わせる。
父は意外と、というとなんだが、意外と(←やっぱそれしか言いようがない)元気そうで良かった。今はもう、多すぎない程度にお酒を飲んでいるし、大好きだった煙草も、本当はいけないんだけれどストレスを溜めないためにちょっと喫っているみたい。いいよいいよそんぐらい。
父に少しの日本酒をお酌して、父から1杯目のビールだけお酌してもらう。父が元気だったときは、「女は手酌で呑むもんじゃない」という父のポリシーから、実家で飲むときは常に父のお酌で飲んでいた私である(「男は手酌で呑んでいい」ので、父自身は基本的には人にお酌をさせなかった)が、「2杯目からは手酌で呑んでくれ」と言われたのが、切ない。でも、今日の1杯目を父に注いでもらったことは、忘れずにいたいなと思う。もちろん、これが最後だとは思わないけれど。
先月会ったときは、浮腫がひどいのでそれを抑えるために薬(デカドロン)を増やしたと言っていたけれど、結局その薬の副作用がだめなようで、飲む量を半分に減らしたとか(もはや医師に無断で勝手に減らしたが、結局その後、医師も減らしていいと言ったらしい)。
ちなみに、そんな薬の副作用的な不調から、父母ともに「もういよいよだめか」と思って常に入院用具を車に積んで生活していたらしいけれど、初めの診療で「1ヶ月もつかどうか」と診断し、これまでの状況もあまり認めてくれず、いわば慎重派だった主治医が今日の診察で初めて「仕事に行ってるのもいいですよ、規則正しくすごせるので」と、好意的な態度を示したらしい。とりあえず、首から下の癌はいまだに見つかっておらず、脳内の腫瘍は「期待ほど小さくなってないけど、ちょっとは小さくなっている」という状態であり、それは「普通にほうっておけば大きくなる癌が大きくなっていない」ということなので、いいじゃないかと励ましておいた。
まあでも、それすらも気やすめなのかな、と思う。それでも、気休めは重要だと思う。病は気から。何もかもを信じるわけにはいかないけど、できることはしたほうがいいと思ってるので、免疫を高めて病気を治す「爪もみ」療法 (Makino mook)告知されたその日からはじめる私のがん養生ごはんという2冊の本を買っていった。癌が完治する病気だとは思わない。でも、癌になったら死に直結だとは私は思わないし、両親にも思ってほしくない。なんでもいいから前向きに生きてほしいんですよ。
本を二冊買ってったら父が10000円分の図書カードくれた。私はこれを父からの形見とは思いたくないので、すぐに本を買って使ってしまおうと思う。