ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

#10

何日かまとめて。

●14(金)
父、ガンマナイフやる病院へ転院。私はバイト休みの日だったのだが、いろいろと事情があってほんの2時間だけ出勤。その後、千葉へ下る。病院は遠いので行かず、直接実家へ。犬の散歩、先日は偉そうに振る舞っていた犬だが、そろそろ家族に何かあったことに気付いたらしく、殊勝な態度。さっすが空気読める犬!
帰宅後、お届け物や電話のやたら多い日でちっとも落ち着かない状態の中、母に頼まれていたカレー作り。週末は誰が来てくれるか解らないから、と言われて大量に作るも、誰もきやしないんだ。と思ってたら、転院の手続き手伝ったあと仕事に行った弟嫁が父へのプレゼント(ガウン)を持って来てくれたので、たべさせた。その弟嫁を家まで送り(実家から車で20分ほど)、帰宅後は母と晩酌。母、神経が高ぶって眠れないらしく、寝ろといってもなかなか寝ずに23時。

●15(土)
私は母と一緒に朝から父病院へ。確かにすごい山の中にある病院だ。まあ空気はきれいだし、眺めはいいし、……いいんじゃないかな。父は、土曜日なのに私以外みんな仕事で子供たちが集まらんことに不満げ。でも、久々に会った父はいたって元気そうで、時々変なことを言いはするものの、特に劣化というものは感じなかったので、ちょい安心。
その後、父の夕食まで見るという母を病院に置いて、私はバスと電車でひとあし早く家に帰る。病院から茂原駅まで40分のバス、前半は運転手さんと二人きりで愚痴を聞かされたりしながら。で家に帰って昼飯を喰らったあと、家の掃除。犬が「なんか手伝うことあるー?」という顔でずっと見ているが、何も手伝って貰うことはない。その後、犬散歩。夕方、飢えた夫がやってきたので、とにかくカレーを食わす。のちに母帰宅、晩酌。早めに就寝。

●16(日)
朝、母を病院へ送りだしてから犬を散歩させたり、掃除したり。ガレージの落ち葉を掃いていたら、犬「それおまえさんの持ち場ちゃうやろ!」と大騒ぎする。ほっといてください。やがて夫起きてきて、遊んでくれるおっちゃんが現れたことに犬もご満悦。
お昼、弟1夫婦が迎えにくる。昼飯(やっぱりカレー)を食わせて、4人で出発。途中で、午前中仕事だった弟2をひろって、皆で父の病院へ。父母まじえてみんなでお茶のみつつ談笑したり、記念撮影したり。父は私のクロックスを見て「エスカレーターに巻き込まれる靴」と言っていた。まだまだボケてはいないな、と思う。
夕方、ちょうど明日のガンマナイフを担当する先生が学会から帰ったとかで父のところを訪れる。ついでといってはなんだが、私らにも現状と治療方針について説明してもらう。ここで私や弟2は初めてMRIの写真を見ることができた。思いのほか大きな腫瘍に驚愕するも、先生の「大船とは言わないけれど、中船ぐらいには乗った気持ちで任せてください」との言葉にひと安心。
また母だけ病院に置いて私たちはお先に帰る。外まで見送りにきた父は、フラフラと喫煙所に吸い寄せられていく。まだ未練あるかー(そりゃそうだよなー)。途中で弟2をおろして、蘇我あたりまで出てから、弟1夫婦と炭火焼ホルモンの店へ。食事後、夫はそのまま東京に帰り、私は実家まで送ってもらい、弟1夫婦に犬の散歩までさせてから帰す。ホルモンおごったからいいよね。

●17(月)
母が起きてこないが、寝かせておこう。7時くらいに起床、身支度と東京への帰宅準備をし、さらに洗濯までこなした後、母を起こす。母に朝食を準備してもらっている間に私は犬散歩。犬はちょっとワガママモードで、なかなか家に帰りたがらない。またしばらく私が散歩してやれないことをわかっているのか。
母の寝坊は、疲れが出てきたのもあるけれど、どうやら今日の治療で失敗するのではないかと心配で現実と向き合うのが恐ろしいらしい。朝食を食べ終わっても、なかなか出掛けようとしない。先生は朝一で開始するって言ってたし、これではガンマナイフが始まってしまうではないかーと思って母を奮い立たせて行ったが、間に合わなかった。病院では既に父ガンマナイフ実施中……ごめんね父、治療前に行けなくてごめんね、と思いながら小一時間ほど待合室で雑誌などを読んでいたら、やがて父が頭に恐ろしげな金具をつけて戻ってきた。すぐに金具を外し、金具を留めていた部分の消毒等を済ませて、父は一時間ほど安静にする。安静とはいえ興奮状態で眠ったりはできないらしく、ぺちゃくちゃ喋る。普通に話ができるので、ひと安心だ。
安静の指示が解除になって、父の昼食後、先生がやってきてお話。思いのほか腫瘍が大きかったので、3回に分けて照射する予定だったが、4回照射に変更したとのこと。それ以外は問題なく、今日の照射については100点とのこと(もちろん、2週間ほど見て腫瘍が小さくなっていなければ治療としては成功とは言えないのだが)。ありがとうございます先生! 父も「なんか、本当に治る気がしてきた」ですって。とにかく気持ちを強く持って欲しい。
点滴終了後すぐに病室に戻って良いと言われたが、私と母が空腹なので、一緒に食堂へ。この病院の食堂は最上階(といっても6階だけど、周りに高い建物がない山の中なの)で、見晴らしが良い。冬至間近の午後3時、日が傾きはじめた西の空に、なんと虹が浮かんでいた。さらに、うっっっっっすらだけど、マウント富士のシルエットまで見える。こんな美しい景色を見たのは久々だった。これは良い兆候、だよね。
入院して以来ずっと、見るからに弱気だった父だけれど、今日は母の悪口が言えるくらい元気で強気になった。私は安心して、せっかくなので憧れの小湊鉄道に乗って一人帰宅した。次に千葉に帰る日は未定。