ベロニカ学習帳。

文京なんちゃらのなれの果て

毒しか返ってこない

愚痴だけど愚痴を書きます。愚痴なのでたたみます。(6/17追記あり

 

以前から色々買ってくださったりしていたお客さんが、サロンでキャンペーンやってるダイエットコースに興味があると問い合わせてくださった。ちょっとメンヘラさんなのは知っていたけど、話してると全然普通で、深くかかわっていない分には特に病んでる感じはない人だ。「5kg痩せたい、痩せられますか」ときた。

で、ダイエットコース。これ、私が想定していたのは、大して太ってないのに「痩せたい~」と言ってるようなライト層への内容。もちろん、手技でむくみを軽減したり毎日ハーブティーを飲むことで身体を変えて、、、と結果を出す自信はあるけど、いくらなんでもそれだけで5kgは無理や。

なので、「本気で5kg落とす気があるなら、3か月間の食事指導も含めたダイエットサポートのモニターになってみますか?」と聞くと、即答でがんばりますと返ってきたので、始めることになった。

ヒアリングの結果、彼女は普段の食事内容のバランスがひどく、ほぼ炭水化物しか食べてないことが判明した。この人、タンパク質と野菜を普通にとれるようになれば、それだけで1~2kgは減ることが目に見えた。炭水化物を減らす必要はないから、プラスしてタンパク質と野菜をとろう。なるべく簡単に取り入れられるよう、コンビニ飯でも出来あい惣菜でもレトルトでもインスタントでもOK、とも伝えた。もちろん、栄養をちゃんと摂れるようになったらカロリー計算とか運動も考えるけど、まずは第一歩を踏み出さなきゃね。

多くの人はこれで、じゃあコンビニでサラダでも買って1品追加しよう、となるのではないかな。それで良いのだけど、彼女の場合なぜか増えるのは芋とキノコと海藻ばかり。野菜をきちんと食べる文化がなかったのかもしれない。食物繊維も摂りすぎるとよくないのだけど、いきなり否定しても「せっかく頑張ったのに!」ってなりそうだったから、「ごはん以外も摂れたね、いいね。明日はこんなものも食べてみたらいいかも!」くらいのアドバイスにとどめることにした。

しかしある日、寝る前の夜食をドカ食い(500kcal超)という、ダイエット中じゃなくても普通に体に悪いことをしでかし、、、そもそもその日は間食でもかなり食べていて、計算すると1日の摂取カロリー2500kcalを超えていた。だからごはんは減らさなくていいって言ったのに、減らしたのかな…。さすがに「痩せたいのなら、もう少し覚悟をもって」と苦言を呈したところ、メンタルの病気を盾にした言い訳が始まり、困った。病気だからって言われちゃうと、こちらからはもう何も言えないよね。

ある日は「誘惑に負けて唐揚げを買って食べてしまいました。ダメですよね、心が弱くてごめんなさい」と一方的に謝られ。むしろ、タンパク質だから食べて!と言ってるのに、まるで私が禁止したかのように、言い訳を並べ立ててくる。ダイエットというのは食べたいものを我慢して苦しむものだという思い込みが異常に激しい。最初から私は「〇〇はダメというのはないですよ。引き算じゃなくて足し算で考えて!」と言い続けてきたのに、ダイエット中に唐揚げを食べるなんて、ビールを飲むなんて、ダメに決まっている!と思いすぎて、私の言葉がまったく届かない。私も唐揚げ食べるしビール飲みたいもん、自分のこと棚に上げて人にダメなんて絶対言わないよ!

そんなこんなで、病んでるってこういうとこか~この人に3か月付き合っていくのしんどいな~と私が思い始めたころ、「胃痛がひどいのと過敏性腸症候群になってしまい、しばらくお休みしたい」と向こうから言ってきた。これは私にとっても渡りに船で良かったんだけど、胃痛も過敏性腸症候群も結局ストレスがすごいってことでしょ。「先生が悪いんじゃなくて、私の心が弱いのがだめなんです」って言うけど、メンタル弱いのわかってるのにストレス与えてしまったなら申し訳ないと反省して。

でも、羅列された言い訳LINEを見ているうちに、彼女がとても可哀相になってしまった。

彼女は基本とてもポジティブで自分が大好きで、そして自分を愛してくれる人が大好きだ。それはとても素晴らしいことだ。それと、体形なんてその人の個性なんだから私は人に対して「太ってるから痩せなよ」とはまったく思わないけれど(健康という軸で考えたら、せめて標準といえる範囲くらいまでは落としたほうが良いとは思うけど)、最初に「痩せたい」と私に声をかけてきた彼女の気持ちに本気を感じたから、本気で受け止めたのだ。

でも彼女は、自分をこよなく愛してくれる大好きな彼氏が「今の身体が大好き♡」と言い、自分をこよなく愛してくれる大好きなお母さんが「ダイエットなんてつらくて苦しいことをしなくても、今のあなたはきれい」と言えば、自分はダイエットをしてはいけないと思ってしまうのだ。

自身の考えとして、そうね私にはダイエットなんて必要ないんだわ、と思えるようになったってんなら、それでいい。でも彼女の場合、違うと思った。なぜなら、彼女は今までに何度もダイエットに挑戦し、それが全部失敗に終わっているから。本当は痩せたくて、何度も痩せようと決意して、だけどそのたびに「そんな苦しいことをしなくていい」と辞めさせられてきたのが目に見える。

そもそも「ダイエットはつらくて苦しいもの」という彼女の固定観念が大きすぎて、彼女と話すたびにどうしてそこまで…と不思議に思っていたのだけれど、今までずっと、お母さんに言われるその言葉でダイエットを辞めてきたからなんだろう。私もそうだったから、わかってしまった。

私の場合は先天的な奇形が体の一部にあったことで、母がそれを異様に気にした。体のことだからかな、「あなたは頭が良くてなんでもできるんだから、運動なんてできなくていい」と刷り込まれてきて、だから自分は運動が苦手なんだと思い込んできた(まあ得意なほうではないけどね)。高校生になって、進学校に入って、自分よりずっと頭の良い人たちがゴロゴロいる世界を知って、ようやく母の言葉の呪縛を解くことができたけれど。

件の彼女の口から聞くお母さんの話には、あの頃自分が感じていた呪縛のような愛を感じてしまう。メンタルを病んでるっていうのも実はそんなでもなくて(だって彼女に処方されてる薬、私も更年期対策で飲んでる漢方薬なのよ)、「あなたはがんばりすぎるから」とずっと言い聞かせ続けられて、がんばることを諦めてきたんじゃないだろうか。毒親にもいろいろあるけど、過保護というか、自立できないくらい愛しすぎるってのも毒よな。

心配なのは、そうやって毒のような愛で娘を縛ってきたお母さん、実は末期がんを患っていてもう残りの時間が少ないらしい。彼女の今回のダイエットの契機も、お母さんが生きてる間にきれいに痩せた姿を見せたいというものだった(私も父を亡くした経験から、だからこそ力になりたいというのもあった)。

お母さんを失った後、彼女はどうなってしまうんだろう。
なんてね。私が心配しても仕方ないか。

-追記(6/17)-

本人から詳しくお話を聞くことができ、毒は父親だったことが判明した。
暴力でもモラハラでも経済DVでもなく(むしろ金持ち)、ただひたすら妻と娘の健康のために食事内容を管理した、というやつ。ただ、やり方が厳しすぎた。

母親が愛情で縛ってきたというより、共依存。思った以上に根深いし、お母さんを失った後の彼女がますます心配ではあるが、これはもう私がどうにかできる範疇の話ではないのよな。

心の中で応援するにとどめておきたいな、もう。